L’indécis “Second Wind”

Country : France

Release : 2019/5/10

Label : Chillhop Records

Genre : Lo-fi / Instrumental / HipHop

Sample : bandcamp

Tracklist : 

  1. Intro
  2. Second Wind
  3. Fried Potatoes
  4. Overcome (feat. sad toï)
  5. Big Blue
  6. From The Top (feat. Blue Wednesday)
  7. Sideways (feat. sad toï)  ★オススメ
  8. Arcade Mode
  9. Spleen & Malt (feat. Alex Akrich)
  10. Departure
  11. Sailing Through
  12. Looking for the Sun (feat. Moods)
  13. Flowing
  14. Overnight

フランス南東部、グルノーブル出身のミュージシャン/トラックメイカーL’Indécisによる2ndフルアルバム。

ここ数年位でしょうか、静かに、しかし見逃せない隆盛を誇る「Lo-Fi Hip Hop」という音楽。日本のNujabesも源流として大きな影響を与えたとされ、SoundcloudやYoutubeなどインターネット上に投稿された楽曲のシェアによって徐々に人気を広げていったジャンルらしい。「緩やかなテンポで、意図的にチープなアレンジが施されたサウンドに仕上げられた、ジャズやヒップホップのサンプリングビートを織り交ぜたインスト・チルミュージック」と言いば少しでも伝わるでしょうか。ヒップホップだけでなく、トリップホップ、チルウェイブ、ダウンテンポ、アンビエントともどこか繋がりを感じさせる音楽性。落ち着いた朝に飲むコーヒーのお供に、または雨上がりの午後13時半、就寝1時間前などに再生すると良き音楽です。

今やYoutubeではそれ専門のチャンネルが山ほどヒットするし、bandcampの売上ランキングでは代表的なレーベルであるChillhop Records発の音源をよく見かけます。僕も興味本位で聴くことがあるのですが、まだ若いジャンルだからか、正直割と金太郎飴的な印象を受ける事も多いです。しかしこのL’indécisというアーティスト、彼は別格だと感じました。特に演奏に対する拘りを強く感じさせてくれるのが良いポイント。彼自身がギタリストである事もあって、演奏や曲作りへのプライドを他より強く感じます。汎用なアーティストのように退屈なリフと同じ展開をただループさせるのではなく、楽曲の中にちゃんと起承転結があって、物語として完結させている。それにメロディーメイカーとしても素晴らしい才能を持っていて、このジャンル特有の飽きやすさを完全に克服しているんですよね。本当に才能豊かなアーティストだと思います。

1stフルアルバム「Plethoria」はこのブログでも紹介したのですが、去年「Playtime」というEPをリリースしているんですよね。そのリードトラック”Soulful”、なんとYoutubeで3,700万回以上再生されています。他の楽曲も数十~数百万回再生されていて、いつの間にかジャンルを代表するような大物になっていました。この事もまた、彼の高い実力と共にLo-Fi Hip Hopという音楽の人気を証明する指標になるのかもしれません。

本作「Second Wind」もこれまでの延長線上にある作品で、ふんわりと柔らかな耳心地のチル・インスト。彼独自のメロディックな旋律が、ヒップホップ、ジャズ、チルアウトなどをシームレスに渡りながら、涼やかな風を運んでくれます。本作はゲストミュージシャンも多彩で、ドイツ、オランダ、フランスなど様々な国籍のビートメイカー/プロデューサーが参加。彼らの携わった楽曲はどれも一味違う魅力を放っています。個人的にはジャズ/フュージョン色の強い#7. Sidewaysと#9. Spleen & Malt、そしてラストの壮大なポストロック風ナンバー#14. Overnightがお気に入り。

普段の何気ない日常をほんのり彩ってくれる珠玉のリラックス・ミュージック。聴き応えも抜群で、じっくり鑑賞しても良い時間を過ごせます。アングラ音楽に対する色眼鏡を外して、ここまで読んでくれた貴方にも是非触れてみて欲しい作品です。